職業紹介事業の「許可申請」手続き

 有料であっても無料であっても、地方公共団体などを除き、職業を紹介する事業は原則として行うことができません。「できない」ことを法的に行おうとするには、特例的に「許可」を受けることになります。
 「職業紹介」とは、「求人及び求職の申込みを受け、求人者と求職者との間における雇用関係の成立をあっせんすること」と定義されています(職業安定法第4条第1項)。なお、それぞれの用語の意味は以下の通りです。

  • 求人:報酬を支払って自己のために他人の労働力の提供を求めること
  • 求職:報酬を得るために自己の労働力を提供して職業に就こうとすること
  • 雇用関係:報酬を支払って労働力を利用する使用者と、労働力を提供する労働者との間に生じる使用・従属の法律関係
  • あっせん:求人者と求職者との間をとりもって、雇用関係が円滑に成立するように第三者として世話をすること

 

 自ら求人・求職を受理せず、求人・求職の申込みを勧誘する業務、職業紹介事業者に求人・求職を全数送付する業務のみを行うことや、職業紹介事業者に対し、求人申込みの意向を持つ人がいる旨の情報提供を行うことは、職業紹介に該当しません
 一方、いわゆるスカウト行為は、求人者に紹介するため求職者を探索した上でその求職者に就職するよう勧奨し、これに応じて求職の申込みをした人をあっせんするものであり、これを事業として行う場合は、職業紹介事業の許可等が必要です



【参考】

申請から許可までの流れ

  • 許可申請書の提出先は、本社所在地の労働局になります。本社では職業紹介事業を行わず、他の都道府県にある事業者のみが職業紹介事業を行う場合も同じです。
  • 許可がされるのは、最短でも許可申請書が受理された月の3か月後になります。
    例えば、1月中に申請書が受理された場合、2月にその労働局で書類審査や事業所への実地調査が行われ、3月に東京の厚生労働本省で審査や労働政策審議会への諮問がなされます。労働政策審議会による厚生労働大臣への諮問決定により答申がなされ、許可・不許可の決定がされます。

提出様式

有料職業紹介事業許可申請書(様式第1号)

 気にされている方は少ないのかもしれませんが、第2面の最後に2つの誓約事項が記載されています。

  1. 申請者(役員を含む)については、欠格事由に該当しないこと、精神の機能の障害により欠格事由に該当するおそれがある場合には該当する全ての者の精神の機能の障害に関する医師の診断書が添付されていることを誓約します。
  2. 職業紹介責任者については、欠格事由に該当しないこと、未成年者に該当しないこと、過去5年以内に職業紹介責任者講習を修了していること、精神の機能の障害により欠格事由に該当するおそれがある場合には該当する全ての者の精神の機能の障害に関する医師の診断書が添付されていることを誓約します。

 なお、偽りその他不正の行為により新規許可や更新許可を受けた者は、1年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処することが定められています。(職業安定法第64条第1号の2)
 虚偽申請にならないよう、十分に気をつけてください。

  • 申請者欄への押印や捨て印は不要になっています。

有料職業紹介事業計画書(様式第2号)

  • 複数事業所を同時に申請する場合、事業所ごとに作成する必要があります。
  • 「3 職業紹介計画(年間)」の「有効求職者見込数」は、その事業所における年度末(3月)の「有効求職者」の見込数を記載します。「あっせんの見込数」ではありません。
  • 「4 職業紹介の業務に従事する者の数」が50人以下のときは職業紹介責任者を1人選任すればよいのですが、50人超100人以下のときは2人以上の、以下従事者が50人増える毎に1人ずつ増やした数の職業紹介責任者を選任しなければなりません。
  • 「5 資産等の状況」は、個人事業の場合にのみ記載する項目です。法人が申請する場合は記載不要です。

届出制手数料届出書(様式第3号)/ 手数料表

  • 手数料徴収の原則的な考え方となる「受付手数料」「上限制紹介手数料」を採用する場合は提出不要です。
  • 一般的に「受付手数料」や「上限制紹介手数料」を使うことはほとんどなく、「届出制手数料」を採用する有料職業紹介事業者が大半です。この場合、あらかじめ「届出制手数料届出書」の提出が必要です。
  • 料金表は「⑦届出・変更届出内容」欄に記載します。一般的にはこの欄には「別紙のとおり」とし、様式例第3号をアレンジした手数料表を添付します。
  • 様式例第3号(P.4~P.9)には、「一般登録型」「サーチ/スカウト型」「再就職支援型」の手数料表が用意されています。

有料職業紹介事業取扱職種範囲等届出書(様式第6号)

  • 一般的に取扱職種の範囲等(職種・地域)は「国内における全職種」ですが、別途範囲を設定する場合(職業紹介を一定の職種に限定する、国外にわたる職業紹介を行うなど)は、その内容を⑩に記載して提出します。
    記載の方法(例)
    職業:事務的職業、会社・団体の役員、飲食物調理の職業、林業の職業など
    地域:国内、大阪府、中部地方など
    賃金:時給1,000 円以上の求人、月給30 万円以上の求人など
    その他:紹介予定派遣に関するもの、母子家庭の母等、中高年齢者、障害者、合法的に在留する外国人、本校所定の課程を修了した者など
  • 複数事業所を同時に申請する場合、事業所ごとに作成する必要があります。
  • 国外にわたる職業紹介を行う場合、「有料職業紹介事業取扱職種範囲等届出書(様式第6号)」に加えて、
    「相手先国の関係法令及びその日本語訳」(相手先国において職業紹介の実施が認められている根拠となる規定に係る部分が必要)
    「相手先国において、国外にわたる職業紹介について事業者の活動が認められていることを証明する書類」(相手先国での許可証等の写し及びその日本語訳、又は法律専門家の証明する書類及びその日本語訳。相手先国において事業者の活動が認められていることを証明する部分が必要)
    の添付書類が必要となります。
  • また、国外にわたる職業紹介を行う場合であって、取次機関(業務提携先企業)を利用するときは、取次機関に関する申告書も必要です。
    取次機関に関する申告書(通達様式第10号)
    「相手先国の関係法令及びその日本語訳」(相手先国において職業紹介の実施が認められている根拠となる規定に係る部分が必要)
    「相手先国において、その取次機関の活動が認められていることを証明する書類」(相手先国での許可証等の写し及びその日本語訳、又は法律専門家の証明する書類及びその日本語訳。相手先国においてその取次機関の活動が認められていることを証明する部分が必要)
    「取次機関及び事業者の業務分担について記載した契約書等及びその日本語訳」(申請者と取次機関のそれぞれの業務分担(役割範囲)が記載された部分が必要)

添付書類

  • 労働者派遣事業の許可申請と同時に職業紹介事業の許可申請を行う場合や、派遣元事業主が職業紹介事業の許可申請を行う場合、一部の添付書類を省略できる場合があります。

定款(or 寄付行為)/ 法人登記簿(履歴事項全部証明書)

  • 定款や法人登記簿の目的欄に「職業紹介事業」があるかを確認してください。
  • 法人登記簿の目的欄には「職業紹介事業」があるものの定款を書換えていない場合は、(旧)定款とともに目的欄の変更を決議した株主総会の議事録を添付してください。
  • 目的欄に、適正に業務を運営していないと職業紹介事業の許可基準に抵触する事業(貸金業、質屋営業)などが含まれる場合、別途申立書の提出が必要となることがあります。
  • 法人登記簿に記載されている代表取締役の住所に変更がないか(添付書類に含まれる住民票や履歴書の住所と同一であるか)確認をしておいてください。

役員の住民票 / 役員の履歴書

役員の住民票

役員住民票を入手するにあたっては、次の事項に注意してください。

  • 本籍地の記載のあるもの
  • 個人番号(マイナンバー)の記載がないもの
  • 中長期在留者にあっては、住民票の写し(国籍及び在留資格の記載があるもの)
  • 特別永住者にあっては、住民票の写し(国籍及び特別永住者である旨の記載があるもの)

なお、法人の「役員」とは、次に掲げる役職をいいます。

  • 株式会社 :代表取締役、取締役、監査役(監査役設置会社の場合)、会計参与(会計参与設置会社の場合)、執行役(委員会設置会社の場合)
  • 有限会社 :代表取締役、取締役、監査役(監査役を置いた場合)
  • 合名会社及び合同会社:総社員(定款をもって業務を執行する社員を定めた場合は当該社員)
  • 合資会社 :総無限責任社員(定款をもって業務を執行する無限責任社員を定めた場合は当該無限責任社員)
  • 財団法人及び社団法人:代表理事、理事、監事

 役員が外国人である場合、原則として、入管法別表第一、別表第一の二、別表第二の表のいずれかの在留資格を有する者でなければいけません。

役員の履歴書

  • 履歴書(役員)の書き方は、労働者派遣の場合と同じです。サンプルはこちらから。
    【出典】厚生労働省HP「労働者派遣事業を適正に実施するために-許可・更新等手続マニュアル-」
  • 履歴書には「氏名」、「生年月日」、「現住所」、「最終学歴」、「職歴」、「賞罰の有無」を記入してください。
  • 「賞罰の有無」は安易に「無」としてはいけません。「役員が欠格事由に該当していない」という宣言になりますから、きちんと欠格事由を確認したうえで「無」とするべきです。【→ 欠格事由の詳細はこちらを参照】
    なお、「賞」については審査の対象となりません(加点はありません)。
  • 「職歴」は入社・退社の年月、役員の就任・退任の年月を明記し、空白期間のないように(求職活動中、法人設立準備、専業主婦など)記入してください。
  • 近年の法改正で、申請者が行政機関に提出する書類について、原則として押印が不要になりました。
    しかし、履歴書への押印の要否は、職業紹介事業の申請を行う会社それぞれが判断することになります。すなわち、役員が欠格事由に該当したことにより不許可になった(=申請書類(履歴書の「賞罰」)について「虚偽記載」があった)場合、その役員に対する責任をどのように追及するのか、という問題になります。

職業紹介責任者の住民票 / 業紹介責任者の履歴書 / 業紹介責任者講習の受講証明書

  • 職業紹介責任者は成年に達した後、3年以上の職業経験を有する者でなければいけません。「成年」は民法改正により令和4年4月1日以後は18歳、それ以前は20歳になります。
  • 職業紹介責任者が苦情処理を適切に処理し得るためには、本人が求人者又は求職者の元に直接出向いて処理する必要性も高いことから、職業紹介責任者が日帰りで苦情処理を行い得ることが必要になります。一方、電話、メール又はウェブ面談等により、苦情対応に対する適正な体制確保が図れる場合についてはこの限りではない(ただし、求人者又は求職者が対面による相談を希望する場合は、対面により対応すること)
    とされています。(職業紹介事業の業務運営要領 P.31)
  • 職業紹介責任者は、その事業所に専属(常勤)である必要があります。したがって、事業所へ毎日通勤ができないような距離の場所に住所地がある場合、職業紹介責任者として認められません(別途、居所があれば認められます)。
  • また、その事業所に専属であることが求められるため、別の会社で勤務をしていたりや事業主として兼業をしている人も職業紹介責任者として認められません。特に他社で常勤役員(代表取締役を含む)になっている人を職業紹介責任者にしようとする場合は要注意です。

職業紹介責任者の住民票

職業紹介責任者の住民票を入手するにあたっては、次の事項に注意してください。

  • 本籍地の記載のあるもの
  • 個人番号(マイナンバー)の記載がないもの
  • 中長期在留者にあっては、住民票の写し(国籍及び在留資格の記載があるもの)
  • 特別永住者にあっては、住民票の写し(国籍及び特別永住者である旨の記載があるもの)
  • 役員が兼務する場合は不要です。「役員の住民票」と同じものになるからです。

 職業紹介事業の業務運営要領には、職業紹介責任者が外国人である場合の要件が記載されていません。なお、派遣元責任者は、「原則として、入管法別表第一の一及び二の表、別表第二の表のいずれかの在留資格を有していなければいけない」とされています。

職業紹介責任者の履歴書

  • 履歴書(職業紹介責任者)の書き方は、労働者派遣の場合とほぼ同じです。サンプルはこちらから
    【出典】厚生労働省HP「労働者派遣事業を適正に実施するために-許可・更新等手続マニュアル-」
  • 履歴書には「氏名」、「生年月日」、「現住所」、「最終学歴」、「職歴」、「賞罰の有無」を記入してください。
  • 「職歴」は入社・退社の年月などを明記し、空白期間のないように(求職活動中、法人設立準備、専業主婦など)記入してください。
  • 近年の法改正で、申請者が行政機関に提出する書類について、原則として押印が不要になりました。
    しかし、履歴書への押印の要否は、職業紹介事業の申請を行う会社それぞれが判断することになります。すなわち、職業紹介責任者の履歴について「虚偽記載」があった場合、その職業紹介責任者の候補者に対する責任をどのように追及するのか、という問題になります。
  • 役員が兼務する場合、(職業紹介責任者としての提出は)不要です。

職業紹介責任者講習の受講証明書

  • 許可申請日前5年以内に受講したものが必要です。

最近の事業年度における決算関係書類

 職業紹介事業の許可を受けるには、一定の財産(基準資産額≧500万円×事業所の数、現金預貯金額≧150万円+60万円×(事業所の数-1))が必要となります。財産的基礎を有しているか確認をするため、以下の添付書類が必要となります。

法人税の納税証明書(その2所得金額用)

  • その2の証明は、法人の場合、法人税に係る所得金額の証明になります。納税証明書の交付請求は手続きはこちらのページをご覧ください。
  • 会社設立後 最初の決算期に係る確定申告書を税務署へ提出していない法人(決算日から2か月後の確定申告期限が未到来)の場合は不要です。

法人税の確定申告書(別表1、別表4)

  • 別表1は税務署の受付印のあるものを用意してください。
    電子申告の場合は、国税電子申告・納税システム(e-Tax)から受信した「受け付けた内容」が確認できるものを併せて用意してください。
  • 会社設立後 最初の決算期に係る確定申告書を税務署へ提出していない法人(決算日から2か月後の確定申告期限が未到来)の場合は不要です。

貸借対照表、損益計算書、株主資本等変動計算書

  • 法人税の確定申告書に添付した貸借対照表、損益計算書、株主資本等変動計算書を提出します。この貸借対照表を使い、財産的基礎の判断を行います。
  • 会社設立後 最初の決算期に係る確定申告書を税務署へ提出していない法人の場合、成立の日における貸借対照表(会社法第435条第1項など)を使い、財産的基礎の判断を行います。

事業所施設に関する書類

  • 事業所には、プライバシーを保護しつつ求人者や求職者に対応することが可能であることが求められています。具体的には、個室の設置、パーティション等での区分により、プライバシーを保護しつつ求人者又は求職者に対応することが可能である構造を有することをいいます。
  • 事業所の面積は、原則として20平方メートル以上であることが必須です。ただし、職業紹介事業は労働者派遣事業と異なり、例えばレンタルオフィスの一画を事業所として認められる場合もあります。
  • 個人情報保護の観点から、他の法人(グループ会社を含む)と同じ部屋を使っている場合は原則として事業所として認められません。
  • 代表者個人の住宅の一室などを使う場合も、原則として事業所として認められません。

提出書類

  • 申請者の所有する建物の場合:建物(「土地」ではありません)の登記事項証明書
  • 他人の所有する建物の場合 :建物の賃貸借契約書
    賃貸借の目的が「事業用」などになっていることが必要です。
  • 転貸借をする場合:原契約書、転貸借契約書、原契約における貸主(建物の所有者)による転貸借の承諾書
    例えば、代表者が個人で借りた物件を法人として使用する場合、グループ会社が借りている物件を別会社である申請者が借りる場合などが該当します。

各種規程

個人情報適正管理規程

 オリジナルで作る方法もありますが、公表されている規程例を使うケースが大半になります。(P.10)

業務の運営に関する規程

 オリジナルで作る方法もありますが、公表されている規程例を使うケースが大半になります。(P.1~P.2)

手数料など

登録免許税

 有料職業紹介事業の新規許可申請をする場合は、登録免許税として9万円が必要です。(更新の申請の場合は不要です。)
 職業紹介を行う事業所が複数であっても、登録免許税の金額は変わりません。
 銀行や郵便局で納付した領収証書を申請書類とともに労働局へ提出します。なお、納付書は労働局へ事前相談に行った際、入手することもできます。

収入印紙

 手数料相当として、収入印紙が必要になります。
 新規許可申請をする場合、職業紹介を行う事業所が1か所であれば5万円になります。複数の事業所で職業紹介事業を行うのであれば、追加事業所1か所あたり1万8千円が加算されます。つまり、2か所であれば5万円+1万8千円=6万8千円、3か所であれば5万円+(1万8千円×2)=8万6千円の印紙が必要ということです。
 印紙は申請書を提出の段階で貼ることになります。

その他準備しておくとよい書類

事務所レイアウト図

 許可申請にあたり必ず提出を要する位置づけの書類ではありませんが、労働局からは申請書提出時に同時提出を求められます。実地調査によって初めて事業所施設の要件を満たしていなかったことが判明することを回避するためにも、事前相談(遅くとも申請書提出時)の段階であらかじめ提出しておくとよい方がスムーズに審査が進みます。

実地調査で確認すること

 究極的には「事業所の要件をきちんと満たしているか」「事業所としての実態があるか」ということの確認になります。具体的には以下のようなことを確認します。

  • 必要とされる面積(原則20平方メートル以上)が確保されているか
  • 会社の入口に看板があるか、他の会社などと事業所が混在していないか
  • 職業紹介責任者の座席はあるか
  • 個人情報をきちんと管理することができる鍵付きの書棚はあるか