派遣社員を受け入れるとき

 労働者派遣とは、派遣元事業主が自己の雇用する労働者を、派遣先の指揮命令を受けて、派遣先のために労働に従事させることをいいます。一般的な雇用関係と異なり、労働者側から見ると「雇用関係」は派遣元事業主と、「指揮命令関係」は派遣先と関係先が複数になります。このため、それぞれの事業主の責任関係があいまいにならないよう、労働者派遣法(労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律)により多くのルールが決められています。
 厚生労働大臣の許可を受けなければならない派遣元事業主と異なり、派遣先には許可が必要ではありませんが、労働者派遣法には派遣先にも多くのルールが決められているので、派遣労働者を受け入れる際には十分に準備をする必要があります。

  派遣と請負の境界線 ~偽装請負と判定されないために~

許可業者の確認

 派遣契約を締結するにあたって、派遣元が許可されている事業者であるかの確認が必要です。

【参考】
 許可事業所の検索:人材サービス総合サイト
 優良派遣事業者認定事業者一覧:優良派遣事業者認定制度

派遣先が行うべき措置

 実際に派遣労働者の受け入れを決めたとき、派遣先が必要な措置について、厚生労働省では指針(平成11年労働省告示第138号)を公開しています。派遣社員を受け入れるにあたっては、この指針を十分に理解することが必要となります。

【参考】厚生労働省HP「労働者派遣事業に係る法令・指針・疑義応答集・関連情報等

労働者派遣契約の締結に当たっての就業条件の確認

 派遣先は、労働者派遣契約の締結の申込みを行うに際して、就業中の派遣労働者を直接指揮命令することが見込まれる者から、

  • 業務の内容及びその業務に伴う責任の程度
  • 業務を遂行するために必要とされる知識、技術又は経験の水準
  • その他労働者派遣契約の締結に際し定めるべき就業条件

の内容を十分に確認することが求められています。

労働者派遣契約に定める就業条件の確保

  1. 就業条件の周知徹底
  2. 就業場所の巡回
  3. 就業状況の報告
  4. 労働者派遣契約の内容の遵守に係る指導

派遣労働者を特定することを目的とする行為の禁止

 派遣先は、紹介予定派遣の場合を除き、派遣元事業主が当該派遣先の指揮命令の下に就業させようとする労働者について、

  • 労働者派遣に先立って面接すること
  • 派遣先に対して当該労働者に係る履歴書を送付させること
  • 若年者に限ることとすること

など派遣労働者を特定することを目的とする行為を行うことはできません。

 なお、派遣労働者又は派遣労働者となろうとする者が、自らの判断の下で派遣就業開始前の事業所訪問や履歴書の送付を行ったり、派遣就業期間中の履歴書の送付を行うことは、派遣先によって派遣労働者を特定することを目的とする行為が行われたことには該当しないため実施することは可能です。
 しかし、派遣先は、派遣元事業主、派遣労働者や派遣労働者となろうとする者に対してこれらの行為を求めないこととするなど、派遣労働者を特定することを目的とする行為の禁止に触れないよう十分留意することが必要です。

性別による差別及び障害者であることを理由とする不当な差別的取扱いの禁止

  1. 性別による差別の禁止
  2. 障害者であることを理由とする不当な差別的取扱いの禁止

労働者派遣契約の定めに違反する事実を知った場合の是正措置等

 派遣先は、労働者派遣契約の定めに反する事実を知った場合、

  • 早急に是正すること
  • 労働者派遣契約の定めに反する行為を行った者及び派遣先責任者に対し労働者派遣契約を遵守させるために必要な措置を講ずること
  • 派遣元事業主と十分に協議した上で損害賠償等の善後処理方策を講ずること

など適切な措置を講じなければなりません。

派遣労働者の雇用の安定を図るために必要な措置

  1. 労働者派遣契約の締結に当たって講ずべき措置
  2. 労働者派遣契約の解除の事前の申入れ
  3. 派遣先における就業機会の確保
  4. 損害賠償等に係る適切な措置
  5. 労働者派遣契約の解除の理由の明示

適切な苦情の処理

  1. 適切かつ迅速な処理を図るべき苦情
  2. 苦情の処理を行う際の留意点等

労働・社会保険の適用の促進

 派遣先は、労働・社会保険に加入する必要がある派遣労働者について、労働・社会保険に加入している派遣労働者を受け入れるべきです。
 もし、派遣元事業主から派遣労働者が労働・社会保険に加入していない理由の通知を受けた場合において、当該理由が適正でないと考えられる場合には、派遣元事業主に対しその派遣労働者を労働・社会保険に加入させてから派遣するよう求めるなければなりません。

適正な派遣就業の確保

  1. 適切な就業環境の維持、福利厚生等
  2. 労働者派遣に関する料金の額
  3. 教育訓練・能力開発
  4. 障害者である派遣労働者の適正な就業の確保

【もっと詳しく】
 毎年変動する「最低賃金」の額を確認していますか

関係法令の関係者への周知

 派遣先は、労働者派遣法の規定により派遣先が講ずべき措置の内容及び労働者派遣法に規定する労働基準法などの適用に関する特例など関係法令の関係者への周知の徹底を図るために、説明会等の実施、文書の配布等の措置を講じなければなりません。

派遣元事業主との労働時間等に係る連絡体制の確立

 派遣先は、派遣元事業主の事業場で締結される労働基準法第36条第1項の時間外及び休日の労働に関する協定の内容等派遣労働者の労働時間の枠組みについて派遣元事業主に情報提供を求める等により、派遣元事業主との連絡調整を的確に行わなければなりません。

 また、労働者派遣法第42条第1項及び第3項において、派遣先は派遣先管理台帳に派遣就業をした日ごとの始業及び終業時刻並びに休憩時間等を記載し、これを派遣元事業主に通知しなければならないとされており、派遣先は、適正に把握した実際の労働時間等について、派遣元事業主に正確に情報提供しなければなりません。

【もっと詳しく】
 派遣先管理台帳の整備

派遣労働者に対する説明会等の実施

派遣先責任者の適切な選任及び適切な業務の遂行

【もっと詳しく】
 派遣先責任者の選任

労働者派遣の役務の提供を受ける期間の制限の適切な運用

 派遣先は、法の規定に基づき派遣労働者による常用労働者の代替及び派遣就業を望まない派遣労働者が派遣就業に固定化されることの防止を図るため、基準に従い、事業所等(事業所その他派遣就業の場所)ごとの業務について、派遣元事業主から派遣可能期間を超える期間継続して労働者派遣の役務の提供を受けることはできません。
 また、事業所等における組織単位ごとの業務について、派遣元事業主から3年を超える期間継続して同一の派遣労働者に係る労働者派遣の役務の提供を受けることはできません。

労派遣可能期間の延長に係る意見聴取の適切かつ確実な実施

  1. 意見聴取に当たっての情報提供
  2. 十分な考慮期間の設定
  3. 異議への対処
  4. 誠実な実施

雇用調整により解雇した労働者が就いていたポストへの派遣労働者の受け入れ

 派遣先は、雇用調整により解雇した労働者が就いていたポストに、解雇後3箇月以内に派遣労働者を受け入れる場合、必要最小限度の労働者派遣の期間を定めるとともに、当該派遣先に雇用される労働者に対し労働者派遣の役務の提供を受ける理由を説明する等、適切な措置を講じ、派遣先の労働者の理解が得られるよう努めなければなりません。

安全衛生に係る措置

 派遣先は、派遣元事業主が派遣労働者に対する雇入れ時及び作業内容変更時の安全衛生教育を適切に行えるよう、

  • 派遣労働者が従事する業務に係る情報を派遣元事業主に対し積極的に提供すること
  • 派遣元事業主から雇入れ時及び作業内容変更時の安全衛生教育の委託の申入れがあった場合には可能な限りこれに応じるよう努めること
  • 派遣元事業主が健康診断等の結果に基づく就業上の措置を講ずるに当たって、当該措置に協力するよう要請があった場合には、これに応じ、必要な協力を行うこと

など派遣労働者の安全衛生に係る措置を実施するために必要な協力や配慮を行わなければなりません。

【参考】
 派遣労働者の安全衛生対策について(厚生労働省HP)

 派遣労働者の労働条件・安全衛生の確保のために(厚生労働省リーフレット)
 派遣労働者に対する安全衛生教育について(厚生労働省リーフレット)
 陸運業・倉庫業で働く派遣労働者の安全・健康のために(厚生労働省リーフレット)
 製造業における派遣労働者に係る安全衛生管理マニュアル(厚生労働省リーフレット)
 陸上貨物運送事業・倉庫業における派遣労働者に係る安全衛生管理マニュアル(厚生労働省リーフレット)
 商業(卸売・小売業)における派遣労働者に係る安全衛生管理マニュアル(厚生労働省リーフレット)
 派遣労働者の心の健康づくり(厚生労働省リーフレット)
 派遣労働者のためのこころの健康気づきのヒント集(厚生労働省リーフレット)

【出典】厚生労働省HP「安全衛生関係リーフレット等一覧

紹介予定派遣

 紹介予定派遣として派遣労働者を受け入れる場合は、さらに留意しなければならない点があります。

【もっと詳しく】
 紹介予定派遣 Q&A

  1. 紹介予定派遣を受け入れる期間
  2. 職業紹介を希望しない場合又は派遣労働者を雇用しない場合の理由の明示
  3. 派遣先が特定等に当たり労働施策総合推進法の趣旨に照らし講ずべき措置
  4. 派遣先が特定等に当たり雇用機会均等法の趣旨に照らし行ってはならない措置等
  5. 派遣先が特定等に当たり障害者雇用促進法の趣旨に照らし行ってはならない措置等

労働契約申込み みなし制度

 労働者派遣法には、違法派遣の是正を目的として、「労働契約申込み みなし制度」が設けられています。(法第40条の6、法第40条の7)

【もっと詳しく】
 労働契約申込み みなし制度

キャリアアップ助成金

 派遣労働者のキャリアアップを促進するため、派遣労働者を正社員として直接雇用する事業主に対して
「キャリアアップ助成金(正社員化コース)」による助成を行っています。

 【参考】厚生労働省HP「キャリアアップ助成金