外国人社員を受け入れるとき

 外国人労働者の雇用管理について、厚生労働省では外国人雇用管理指針(平成19年厚生労働省告示第276号)を公開しています。外国人社員を受け入れるにあたっては、この指針を十分に理解することが必要となります。

【参考】厚生労働省HP「外国人雇用対策
外国人の雇用

【参考】厚生労働省HP「外国人雇用のルールに関するパンフレット

外国人雇用に対する基本的な考え方

 労働施策総合推進法(労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律)第7条には次のように定められています。

労働施策総合推進法 第7条
事業主は、外国人が我が国の雇用慣行に関する知識及び求職活動に必要な雇用に関する情報を十分に有していないこと等にかんがみ、その雇用する外国人がその有する能力を有効に発揮できるよう、職業に適応することを容易にするための措置の実施その他の雇用管理の改善に努めるとともに、その雇用する外国人が解雇(自己の責めに帰すべき理由によるものを除く。)その他事業主の都合により離職する場合において、当該外国人が再就職を希望するときは、求人の開拓その他当該外国人の再就職の援助に関し必要な措置を講ずるように努めなければならない。

 ここで「外国人」とは、日本の国籍を有しない人のことで、また特別永住者や在留資格が「外交」「公用」の人は含まれません。逆に言えば、いろいろと話題に上る「技能実習生」は含まれることになります。

 この指針では、上記の事項について事業主が適切に対処することができるよう、事業主が講ずべき必要な措置について定めたもであります。

 外国人が日本で安心して就労し、企業や地域社会の一員として活躍するためには、事業主による関係法令の遵守や適切な待遇の確保、日本人との相互理解等を通じた魅力ある職場環境の整備、職業生活上、日常生活上又は社会生活上の適切な支援等が重要となります。

事業主が講ずべき必要な措置

外国人労働者の募集及び採用の適正化

募集

  1. 募集を行う際の労働条件の明示
    労働者の募集にあたり、従事すべき業務の内容、賃金、労働時間、労働・社会保険の適用に関する事項等について明示する。(職業安定法第5条の3)
    なお、その際には、母国語や平易な日本語などを用いるなど、外国人が理解できる方法により明示するよう努める。
  2. 職業紹介事業者等の利用
    外国人労働者のあっせんを受ける場合には、外国人労働者から違約金や保証金を徴収するなど職業安定法に違反する者または労働者派遣法に違反する者からは受けないこと。(職業安定法第32条の3など)
    求人の申込みに当たり、職業紹介事業者等に対し、従事すべき業務の内容、賃金、労働時間、労働・社会保険の適用に関する事項等について明示する。(職業安定法第5条の3)
    求人の申込みに当たり、国籍による条件を付すなど差別的取扱いをしないよう十分留意する。(職業安定法第3条など)

    【参考】
     厚生労働省委託事業「職業紹介優良事業者認定制度
     厚生労働省HP「人材サービス総合サイト
  3. 労働条件の変更等の明示
    募集するに当たってその外国人に対して明示した事項を変更、特定等する場合は、明示した事項と変更内容等とを対照することができる書面を交付する等、適切な方法により明示する。
    なお、その際には、母国語や平易な日本語などを用いるなど、変更内容等について外国人が理解できる方法により明示するよう努める。

【参考】
 厚生労働省HP「採用・選考時のルール

採用

  • 在留資格上、従事することが認められる者であることを確認する。なお、不法就労活動をさせた場合には、「不法就労助長罪」に問われる可能性がある。(入管法第73条の2)
  • 在留資格の範囲内で、有する能力を有効に発揮できるよう、公平な採用選考に努める。
    特に、永住者、定住者等その身分に基づき在留する外国人に関しては、その活動内容に制限がないことに留意する。


【もっと詳しく】
 「在留カード」はどういうカード?

適正な労働条件の確保

【参考】
 外国人労働者向け 労働条件ハンドブック
 厚生労働省HP「労働条件・職場環境に関するルール
 厚生労働省HP「知って役立つ労働法 ~働くときに必要な基礎知識~」(中国語、ベトナム語などあり)

均等待遇

  • 国籍を理由として賃金、労働時間等の労働条件について差別的取扱いをしてはならない。(労働基準法第3条)

【参考】
 厚生労働省HP「同一労働同一賃金特集ページ

労働条件の明示

  1. 書面の交付等
    労働契約の締結にあたり、賃金、労働時間等主要な労働条件について、その内容を明らかにした書面等の交付を行う。(労働基準法第15条)
    なお、その際には、外国語版のモデル様式を活用したり母国語や平易な日本語などを用いるなど、外国人労働者が理解できる方法により明示するよう努める。
  2. 賃金に関する説明
    賃金について明示する際には、賃金の決定、計算及び支払の方法等はもとより、これに関連する事項として税金、雇用保険及び社会保険の保険料、労使協定に基づく賃金の一部控除の取扱いについても、実際に支給する額が明らかとなるよう努める。
    なお、その際には、母国語や平易な日本語などを用いるなど、外国人労働者が理解できる方法により説明するよう努める。

【詳しい解説】
 外国人労働者向けモデル労働条件通知書
 租税条約、社会保障協定のまとめ

【参考】
 厚生労働省HP「人を雇うときのルール

賃金の支払い

  • 最低賃金法等の定めるところにより最低賃金額以上の賃金を支払うことはもとより、基本給、割増賃金等の賃金について、一定の場合を除き、全額を支払う。
  • 食費、居住費等を賃金から控除する場合等について、その額については実費を勘案し、不当な額とならないようにする。

【もっと詳しく】
 毎年変動する「最低賃金」の額を確認していますか

適正な労働時間等の管理

  • 法定労働時間や時間外・休日労働の上限規制の遵守、週休日の確保など、適正な労働時間の管理を行う。(労働基準法第32条等)
  • 時間外・休日労働の削減に努める。(労働時間等設定改善法第2条等)
  • 労働基準法の定めるところにより、年次有給休暇を与える。(労働基準法第39条等)

労働基準法等の周知

  • 労働基準法等の内容、就業規則、労使協定等について周知する。(労働基準法第106条)
  • なお、その際には、分かりやすい説明書や行政機関が作成している多言語対応のリーフレット等を用いる、母国語や平易な日本語などを用いて説明するなど、外国人労働者の理解を促進するため必要な配慮をするよう努める。

労働者名簿等の調製

  • 労働基準法等の定める労働者名簿、賃金台帳及び年次有給休暇管理簿を調製する。
  • なお、その際には、外国人労働者について、家族の住所その他の緊急時における連絡先を把握しておくよう努める。

金品の返還等

  • 退職の際には、当該労働者の権利に属する金品を返還する。(労働基準法第23条)
  • 返還の請求から七日以内に外国人労働者が出国する場合には、出国前に返還する。
  • 外国人労働者の旅券、在留カード等を保管しないようにする。

寄宿舎

  • 附属寄宿舎に外国人労働者を寄宿させる場合、労働基準法等の定めるところにより、寄宿舎について換気、採光、照明、保温、防湿、清潔、避難、定員の収容、就寝に必要な措置その他労働者の健康、風紀及び生命の保持に必要な措置を講ずる。

雇用形態又は就業形態に関わらない公正な待遇の確保

  1. 不合理な待遇の禁止
  2. 差別的取扱いの禁止
  3. 労使協定による派遣労働者の待遇の確保
  4. 待遇に関する説明

安全衛生の確保

【項目】

  1. 安全衛生教育の実施
    雇入れ時等に安全衛生教育を行う。(労働安全衛生法第59条)
    なお、その際には、母国語や平易な日本語などを用いる、視聴覚教材を用いるなど、外国人労働者が理解できる方法により行う。
  2. 労働災害防止のための日本語教育等の実施
    労働災害防止のための指示等を理解できるよう、必要な日本語・基本的な合図等を習得させるよう努める。
  3. 労働災害防止に関する標識、掲示等
  4. 健康診断の実施等
    健康診断、面接指導、ストレスチェック等を実施する。(労働安全衛生法第66条、第66条の8、第66条の8の2、第66条の8の4、第66条の10)
    なお、その際には、母国語や平易な日本語などを用いるなど、外国人労働者が理解できる方法により行う。
  5. 健康指導及び健康相談の実施
  6. 母性保護等に関する措置の実施
    女性労働者について、産前産後休業、軽易な業務への転換、妊娠中及び出産後の健康管理に関する措置等、必要な措置を講ずる。(労働基準法第65条等、男女雇用機会均等法第12条、第13条)
  7. 労働安全衛生法等の周知


【もっと詳しく】
 外国人労働者の母国語による安全衛生対策

【参考】
 外国人労働者向け安全衛生教育教材を労働災害防止にご活用ください(厚生労働省リーフレット)
 外国人労働者に対する安全衛生教育には、適切な配慮をお願いします(厚生労働省リーフレット)

【出典】厚生労働省HP「安全衛生関係リーフレット等一覧

労働・社会保険の適用等

【項目】

  1. 制度の周知及び必要な手続の履行等
    「被保険者に該当する外国人労働者の適用手続」「離職時の健康保険の被保険者証の回収」「労働保険の暫定任意適用事業所における、労働者の希望に応じた加入の申請」など、労働・社会保険関係法令で定められた手続を行う。
  2. 保険給付の請求等についての援助
    雇用保険 : 離職する場合には、失業保険の受給についてハローワークの窓口を教示するなど、必要な援助を行うように努める。
    労働者災害補償保険 : 労災保険給付の手続に関し、外国人労働者やその家族等からの相談に応じるとともに、必要な援助を行う。
    健康保険・公的年金 : 
    離職時に国民健康保険・国民年金の加入手続が必要になる場合は、その旨を教示するよう努める。
    健康保険・厚生年金保険の適用事業所以外の事業所においては、国民健康保険・国民年金への加入支援に努める。
    傷病手当金や障害年金について教示するよう努める。
    公的年金への加入期間が一定期間以上の外国人労働者が帰国する場合、帰国後に脱退一時金の支給を請求し得る旨と、その際の留意事項について説明するよう努める。

【参考】
 厚生労働省HP「人を雇うときのルール
 日本年金機構HP「短期在留外国人の脱退一時金
 日本年金機構HP「年金Q&A(短期在留外国人の脱退一時金)
 日本年金機構HP「社会保障協定

適切な人事管理、教育訓練、福利厚生等

【項目】

  1. 適切な人事管理
    社内規程等の多言語化など、職場における円滑なコミュニケーションのための環境整備に努める。
    人事管理に関する運用の透明性・公正性の確保など、多様な人材が適切な待遇の下で能力発揮しやすい環境整備に努める。
  2. 生活支援
    行政機関、医療機関、金融機関等に関する情報提供など、地域で安心して生活を営むために必要な支援を行うように努める。
    地域社会における行事や活動に参加する機会を設けるように努める。
  3. 苦情・相談体制の整備
    外国人労働者の苦情や相談を受け付ける窓口の設置など、生活上又は職業上の苦情・相談等に対応するよう努める。
  4. 教育訓練の実施等
    教育訓練の実施、母国語での導入研修の実施等に努める。
  5. 福利厚生施設
    適切な宿泊の施設を確保するように努める。
    給食・医療・教養・文化・体育・レクリエーション等の施設の利用について、十分な機会が保障されるようにするように努める。
  6. 帰国及び在留資格の変更等の援助
    雇用する外国人労働者の在留期間が満了し、在留資格の更新がなされない場合には、雇用関係を終了し、帰国のための諸手続の相談その他必要な援助を行うよう努める。
    雇用する外国人労働者が帰国する際、病気等やむを得ない理由により帰国に要する旅費を支弁できない場合には、当該旅費を負担するよう努める。
    外国人労働者が在留資格の変更・在留期間の更新をするときは、手続を行うに当たっての勤務時間の配慮その他必要な援助を行うように努める。
    外国人労働者が一時帰国を希望する場合には、休暇の取得への配慮その他必要な援助を行うよう努める。
    → 特定技能、技能実習の場合は、さらに細かな留意点があります。
  7. 外国人労働者と共に就労する上で必要な配慮
    日本人労働者と外国人労働者とが、文化、慣習等の多様性を理解しつつ共に就労できるように努める。

解雇等の予防及び再就職の援助

 外国人労働者だから日本人労働者より解雇や雇止めをしやすいということはありません。逆に、特に技能実習や特定技能の場合は、労働関係法のほかに入管法や技能実習法が上乗せ適用されるため、日本人労働者よりも制約があると考えた方がよいでしょう。

【項目】

  1. 解雇
    事業規模の縮小等に伴う場合であっても、外国人労働者に対して安易な解雇を行わないようにする。
  2. 雇止め
    外国人労働者に対して安易な雇止めを行わないようにする。
  3. 再就職の援助
    外国人労働者の在留資格に応じた再就職が可能となるよう、必要な援助を行うように努める。
  4. 解雇制限
    解雇制限期間(業務上負傷し、または疾病にかかり療養のために休業する期間およびその後30日間等)における解雇の禁止。(労働基準法第19条)
  5. 妊娠、出産等を理由とした解雇の禁止等
    婚姻・妊娠・出産を退職理由として予定する定めや妊娠・出産等を理由とした解雇等の禁止。(男女雇用機会均等法第9条)

【参考】
  厚生労働省HP「労働契約の終了に関するルール

労働者派遣又は請負を行う事業主に係る留意事項

【項目】

  1. 労働者派遣
    労働者派遣法等の定めるところに従い、適正な事業運営を行うこと。
    派遣先は、労働者派遣事業の許可を受けていない者からは外国人労働者に係る労働者派遣を受けないこと。
  2. 請負
    請負契約の名目で実質的に労働者供給事業又は労働者派遣事業を行うことのないよう、職業安定法及び労働者派遣法を遵守すること。
    請負を行う事業主は、外国人労働者の希望により、労働契約の期間をできる限り長期のものとし、安定的な雇用の確保に努めること。


【参考】
 厚生労働省HP「労働者派遣事業・職業紹介事業等
 厚生労働省HP「フリーランスとして業務を行う方・フリーランスの方に業務を委託する事業者の方等へ

外国人労働者の雇用状況の届出

確認し、届け出るべき事項 / 届出の方法・期限

【項目】

  • 雇用保険被保険者資格を有する外国人労働者
    氏名、在留資格、在留期間、生年月日、性別、国籍・地域、職種、賃金、住所等の雇用保険被保険者資格取得届又は雇用保険被保険者資格喪失届に記載すべき当該外国人の雇用状況等に関する事項(中長期在留者を雇い入れる場合又は中長期在留者が離職した場合は、これらに加えて在留カードの番号)を、
    雇入れに係る届出は雇い入れた日の属する月の翌月10日までに、
    離職に係る届出は離職した日の翌日から起算して10日以内に届け出る。
  • 雇用保険被保険者資格を有さない外国人労働者
    氏名、在留資格、在留期間、生年月日、性別、国籍・地域(中長期在留者を雇い入れる場合又は中長期在留者が離職した場合は、これらに加えて在留カードの番号)を、
    雇入れ又は離職した日の属する月の翌月の末日までに届け出る。

確認の方法 / 確認に当たっての留意事項

【項目】

  • 資格外活動の許可を受けて就労する者
    在留カード(在留カードを所持しない者は、旅券又は在留資格証明書(資格外活動の許可を受けている旨が記載されていない場合には、資格外活動許可書又は就労資格証明書を含む。))の提示を求め、届け出るべき事項を確認する。
  • 特定技能の在留資格をもって在留する者
    在留カード及び特定産業分野を記載した指定書の提示を求め、届け出るべき事項を確認する。
  • 特定活動の在留資格をもって在留する者
    在留カード(在留カードを所持しない者は、旅券又は在留資格証明書)及び法務大臣が特に指定する活動を記載した指定書の提示を求め、届け出るべき事項を確認する。
  • 上記以外の者
    在留カード(在留カードを所持しない者は、旅券又は在留資格証明書)の提示を求め、届け出るべき事項を確認する。


【もっと詳しく】
 外国人雇用状況の届出 Q&A

外国人労働者の雇用労務責任者の選任

 事業主は、外国人労働者を常時10人以上雇用するときは、人事課長などを雇用労務責任者(外国人労働者の雇用管理に関する責任者)として選任し、指針に定める事項などを管理させることが求められています。

在留資格に応じて講ずべき必要な措置

  1. 特定技能
    出入国管理及び難民認定法等に定める雇用契約の基準や受入れ機関の基準に留意するとともに、必要な届出・支援等を適切に実施しなければいけません。
  2. 技能実習
    技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する基本方針」等の内容に留意し、技能実習生に対し実効ある技能等の修得が図られるように取り組む必要があります。

     厚生労働省HP「外国人技能実習制度について
  3. 留学
    アルバイト等で雇用する場合には、資格外活動許可が必要であることや資格外活動が夏休みなどを除き週28時間以内に制限されていることに留意してください。残業をさせると不法就労(入管法違反)となってしまう恐れがあります。
    新規学卒者等を採用する際、留学生であることを理由として、その対象から除外することのないようにするとともに、企業の活性化・国際化を図るためには留学生の採用も効果的であることに留意してください。
    新規学卒者等として留学生を採用する場合、当該留学生が在留資格の変更の許可を受ける必要があることに留意してください。
    インターンシップ等の実施に当たっては、本来の趣旨を損なわないよう留意してください。

     出入国在留管理庁HP「インターンシップをご希望のみなさまへ
     
  4. その他の在留資格
    事業主は外国人労働者の在留資格に応じて講ずべき必要な措置を適切に実施してください。

    【もっと詳しく】
     在留資格「特定活動」を告示から探る