令和7年度税制改正大綱が公表されました

 12月20日に自民党、公明党による令和7年度税制改正大綱が公表されました。報道では、いわゆる103万円の壁をどこまで引き上げるかに注目が集まっていますが、ここでは確定拠出年金についての提言をまとめました。

 内容は大きく分けて「マッチング拠出に関する要件」「掛金を拠出できる年齢の引き上げ」「拠出できる掛金額の引き上げ」の3つとなります。

現在の制度

  1. 従業員の拠出額(マッチング拠出)は事業主の拠出額を超えることができない
  2. 事業主の拠出額と従業員の拠出額の合計が拠出限度額(原則月額5.5万円)を超えることができない

見直し後

  1. 従業員の拠出額の上限を事業主拠出額までとする制限を撤廃
  2. 拠出限度額の範囲内(提言は原則月額6.2万円)であれば、従業員は事業主の拠出額を超えて拠出可能になる

具体的な事例(事業主の拠出額が月額1万円のとき)

現在の制度

  • 企業型DCのマッチング拠出で従業員が拠出できる金額は月額1万円まで。なお、マッチング拠出をすると個人型iDeCoでは拠出できない。
  • 企業型DCのマッチング拠出をしなければ、個人型iDeCoでは月額2万円まで拠出できる。

見直し後の制度

  • 月額6.2万円から事業主の拠出額月額1万円を差し引いた月額5.2万円までマッチング拠出ができる(マッチング拠出ではなく、個人型iDeCoで拠出することもできる)。

現在の制度

  • 掛金を拠出できる年齢の上限は原則60歳未満、最長65歳未満
  • ただし、60歳以降に掛金を拠出できるのは一定の条件を満たす人に限られる
    ①60歳以降も会社員や公務員として働き、厚生年金に加入している人(第2号被保険者)
    ②国民年金保険料を40年間納めていない人で、60歳以降も国民年金に任意加入している人(第1号被保険者)

    なお、自営業者(第1号被保険者)、扶養されている配偶者(第3号被保険者)は、原則60歳までしか国民年金に加入できないため、iDeCoへの加入も60歳未満に限られる場合が多い
  • また、老齢基礎年金や老齢厚生年金を65歳前に繰り上げて受給している場合や、個人型iDeCoの老齢給付金を受給した場合は不可

見直し後

  • 掛金を拠出できる年齢の上限は原則60歳未満、最長70歳未満
  • ただし、60歳以降に掛金を拠出できるのは一定の条件を満たす人に限られる
    ①60歳以降も会社員や公務員として働き、厚生年金に加入している人(第2号被保険者)
    ②国民年金保険料を40年間納めていない人で、60歳以降も国民年金に任意加入している人(第1号被保険者)
  • 老齢基礎年金を受給している場合や、個人型iDeCoの老齢給付金を受給した場合は不可

現在の制度

1.第1号被保険者・任意加入被保険者  iDeCo+国民年金基金:月額6.8万円

2.第2号被保険者
①企業型DCのみに加入  企業型DC+iDeCo:月額5.5万円(ただしiDeCoの上限は月額2万円)
②企業型DCと、DB等の他制度に加入  企業型DC+DB(掛金相当額)+iDeCo:月額5.5万円(ただしiDeCoの上限は月額2万円)
③DB等の他制度のみに加入(公務員を含む)  iDeCo:月額2万円
④企業型DC、DB等の他制度のいずれにも加入していない  iDeCo:月額2.3万円

3.第3号被保険者  iDeCo:月額2.3万円

見直し後

1.第1号被保険者・任意加入被保険者  iDeCo+国民年金基金:月額7.5万円

2.第2号被保険者  企業型DC+DB(掛金相当額)+iDeCo:月額6.2万円(iDeCoの上限額は撤廃)

3.第3号被保険者  iDeCo:月額2.3万円