確定拠出年金(DC)の拠出限度額の見直しに伴う確定給付企業年金(DB)の対応

 企業型DC(確定拠出年金)やiDeCo(個人型確定拠出年金)の拠出限度額について、全てのDB(確定給付企業年金)等の他制度の掛金相当額は一律に月額2.75万円と評価しています。
 この点を見直し、加入者がそれぞれ加入しているDB等の他制度ごとの掛金相当額(他制度掛金相当額)を反映することで、公平できめ細かな算定方式に改善を図るための法改正になります。

※ DB等の他制度:公務員の年金払い退職給付を含む

改正前後の確定拠出年金(DC)拠出限度額の比較

改正前(~R6.11.30)の拠出限度額

企業型DCの事業主掛金額

【出典】厚生労働省HP「2020年の制度改正

改正後(R6.12.1~)の拠出限度額

企業型DCの事業主掛金額

【出典】厚生労働省HP「2020年の制度改正

他制度掛金相当額 とは

 他制度掛金相当額とは、企業型DCやiDeCo(個人型確定拠出年金)の拠出限度額の算定に当たってDB等がどの程度を占めるのかを評価するものであって、DB等の給付に対して事業主が拠出したとみなされるものとして算定します。
 具体的には、DB等の標準掛金と同様の手法により、財政方式ごとの算定式に基づき、毎月定額の掛金相当額として算定します。
 なお、複数のDB等の他制度に加入している場合はその合算となります。

他制度掛金相当額はいくらになる?

 DB等の実施者は令和6年11月1日までに他制度掛金相当額を算定し規約に記載する必要があります。

私学共済

 正式には告示で示されるようですが、「おおむね7,000円程度」になる見込みのようです。

【出典】加入者向け広報 レター 2022年 夏号

ベネフィット・ワン企業年金基金

 令和6年12月~令和7年6月の他制度掛金相当額が「14,000円」になると公表されています。

【出典】ベネフィット・ワン企業年金基金HP「iDeCo 等年金制度改定内容について周知のお願い

企業型DCの拠出限度額の見直しに伴う経過措置

経過措置が適用される場合

 経過措置としては、施行(R6.12.1)の際の企業型DC規約に基づいた従前の掛金拠出を可能としています。
 すなわち、
「月額5.5万円からDB等の他制度掛金相当額を控除した額」が2.75万円を下回るときは、「企業型DCの拠出限度額を2.75万円とする」
としており、施行の際、企業型DCを実施している事業主は、旧制度(現行制度)が適用されます。

経過措置の適用が終了し、新制度が適用される場合

 以下に該当するときは経過措置の適用が終了し、新制度が適用されます。

  • 施行日(R6.12.1)以後に新たに企業型DCを実施した場合
  • 企業型DCの事業主掛金の算定方法・DBの給付設計を変更する規約変更を行った場合
  • 月額2.75万円を超えて企業型DCの事業主掛金を拠出しようとする場合