労働者派遣事業を行うにあたって必要な財産の条件

 労働者派遣法第7条第1項第4号では、事業の許可をするための基準として「申請者が当該事業を的確に遂行するに足りる能力を有するものであること」を掲げています。具体的には、「労働者派遣事業関係業務取扱要領」の中で以下の4つの判断を行いますが、ここでは1の「財産的基礎に関する判断」について詳しく説明します。

  1. 財産的基礎に関する判断(事業主(法人又は個人)単位で判断)
  2. 組織的基礎に関する判断
  3. 事業所に関する判断
  4. 適正な事業運営に関する判断

財産的基礎に関する3つの要件

財産的基礎に関する原則的な判断方法

 財産的基礎に関する要件は以下の3つとなります。
 判断にあたっては、事業主(法人)単位で行い、添付書類として用意した「最近の事業年度における決算関係書類」のうち「貸借対照表」を使います。(原則として、様式第3号の「3 資産等の状況」にも同じ数字が記載されているはずです。)
 なお、公益法人などで非収益事業が含まれる場合、「法人税の確定申告書に添付した貸借対照表」=「法人の貸借対照表」とならないことがあります。このようなケースでは追加の添付書類が必要です。

  • 「基準資産額」は「資産の総額-負債の総額」のことです。
  • 「資産の総額」には「繰延資産」と「営業権」(=資産性に乏しいもの)を除きます。
    「繰延資産」とは、会社計算規則第74条第3項第5号に規定する「繰延資産」(繰延資産として計上することが適当であると認められるもの)をいいます。したがって、同項第4号に規定する「繰延税金資産」は「繰延資産」に該当しません。
    また、「営業権」とは、無形固定資産の一つである会社計算規則第2編第2章第2節(第11条)の「のれん」(会社は、吸収型再編、新設型再編又は事業の譲受けをする場合において、適正な額ののれんを資産又は負債として計上することができる)をいいます。
  • 「事業所の数」は、労働者派遣事業を行う(予定する)事業所の数です。労働者派遣事業を行わない事業所の数は含まれません
  • 「現金預金額」は自己名義のものに限ります。したがって、申請者が法人の場合に代表者の個人名義預金を加算することはできません。
  • 許可有効期間を更新する場合もこの基準をクリアしていることが絶対条件です。「最近の事業年度」は更新の申請を提出する時点で判断します。決算終了後2か月が経過しておらず、税務署へ法人税の申告がまだ行われていない場合は、その前期分が「最近の事業年度」になります。

最近の事業年度では財産的基礎をクリアできないが申請時点ではクリアできている場合の追加添付書類

  • 決算日以後(法人設立以後、最初の決算日未到来を含む)に増資などにより基準資産額や自己名義の現金預金の額が増加する場合、公認会計士や監査法人による監査証明を受けた中間決算や月次決算を追加提出をすることにより、財産的基礎がクリアしていることを証明する方法もあります。