「初診日」をもっと詳しく!

 障害年金は「保険」です。よって、障害の原因となる傷病が発生する前に年金保険料を一定期間納付していることなどが支給要件となります。保険料を払っていない人には保険金が払われない、という当たり前の話です。
 このため、「初診日がいつか」ということは障害年金の請求において重要な要素となります。そして、障害年金の請求に当たっては、傷病の初診日を特定するため初診日証明書類を提出することになります。

 一般的には、初診日証明書類として初診時の医療機関が作成した受診状況等証明書や診断書を提出することになります。

 一方、過去にさかのぼって障害年金を請求する場合など、初診時の医療機関の証明得ることが難しい場合もあります。こうした場合には、請求する人の状況に応じて、別途、初診日証明書類を用意する道が用意されています。

初診日が被保険者期間等にあること

 実務上、一番困難を伴うのは「初診日がいつか」を確定することです。

 例えば交通事故で身体的な障害を負った場合の初診日は容易に確定できます。交通事故が発生した日に国民年金保険の被保険者であれば障害基礎年金が、サラリーマンなど厚生年金保険の被保険者であれば障害厚生年金(2階部分)と障害基礎年金(1階部分)の対象(障害の状態による)になりますし、保険料納付要件もすぐに判定ができます。
 しかし、精神的な障害の場合は、数年や十数年かけて悪化することが多いので、初めて医師や歯科医師の診療を受けた日を探し出すのがとても困難になります。
 なぜならカルテは法律上は5年間保存すればいいことになっていますので、5年以上経つと医師等から初診日を証明する診断書を入手することが困難になるからです。
 ただし、初診日から時間が経過しているからといってすぐに諦める必要はありません。その他の方法で事実を証明できないのか、専門家にきちんと相談することが大切です。

障害年金の請求で初診時の医療機関の証明を得ることが難しい場合

20歳以降に初診日がある場合

第三者証明(2通)と参考資料を用意する方法

[用意する資料]

  • 受診状況等証明書が添付できない申立書
  • 初診日に関する第三者証明書(2通) : 2名の第三者による証明が必要です。また、請求者の三親等内の親族の方は、第三者証明を行うことができません。
  • 請求者が申し立てた初診日に関する参考資料 : 診察券、入院記録、医療機関や薬局の領収書、生命保険・損害保険・労災保険の給付申請時の診断書、障害者手帳の申請時の診断書など

初診日頃に受診した医療機関の医療従事者による第三者証明(1通)を用意する方法

[用意する資料]

  • 受診状況等証明書が添付できない申立書
  • 初診日頃に受診した医療機関の医療従事者による第三者証明書(1通) : 初診日頃に請求者が受診した医療機関の担当医師・看護師などの医療従事者が、直接的に見ていた請求者の初診日頃の受診状況を申し立てることが必要です。

20歳に初診日がある場合

2番目以降に受診した医療機関が作成した受診状況等証明書または診断書を用意する方法

[用意する資料]

  • 2番目以降に受診した医療機関が作成した受診状況等証明書または診断書

 なお、

  1. 2番目以降に受診した医療機関の受診日から、障害認定日が20歳到達日以前であることが確認できる場合
  2. その受診日前に厚生年金の加入期間がない場合

のいずれにも該当していることが必要になります。

第三者証明(2通)を用意する方法

[用意する資料]

  • 受診状況等証明書が添付できない申立書
  • 初診日に関する第三者証明書(2通) : 2名の第三者による証明が必要です。また、請求者の三親等内の親族の方は、第三者証明を行うことができません。

初診日頃または20歳前の時期に受診した医療機関の医療従事者による第三者証明(1通)を用意する方法

[用意する資料]

  • 受診状況等証明書が添付できない申立書
  • 初診日頃または20歳前の時期に受診した医療機関の医療従事者による第三者証明書(1通)  : 初診日頃または20歳前の時期に請求者が受診した医療機関の担当医師・看護師等の医療従事者が、直接的に見ていた請求者の初診日頃または20歳前の時期の受診状況を申し立てることが必要です。

その他の証明方法

初診日が存在する期間を証明する参考資料を用意する方法

一定期間内に国民年金のみ加入

[用意する資料]

  • 受診状況等証明書が添付できない申立書
  • 一定期間の始期に関する参考資料 : 就職時に提出した診断書、人間ドックの結果(発病していないことが確認できる資料)、職場の人間関係が起因となった精神疾患であることを明らかにする医学的資料及び就職の時期を証明する資料 など
  • 一定期間の終期に関する参考資料  : 2番目以降に受診した医療機関による証明、交付日の記載された障害者手帳 など
一定期間内に国民年金と厚生年金に加入

[用意する資料]

  • 受診状況等証明書が添付できない申立書
  • 一定期間の始期に関する参考資料 : 就職時に提出した診断書、人間ドックの結果(発病していないことが確認できる資料)、職場の人間関係が起因となった精神疾患であることを明らかにする医学的資料及び就職の時期を証明する資料 など
  • 一定期間の終期に関する参考資料  : 2番目以降に受診した医療機関による証明、交付日の記載された障害者手帳 など
  • 請求者が申し立てた初診日に関する参考資料 : 診察券、入院記録、医療機関や薬局の領収書、生命保険・損害保険・労災保険の給付申請時の診断書、障害者手帳の申請時の診断書など

初診日の記載された、請求の5年以上前に医療機関が作成したカルテ等を用意する方法

[用意する資料]

  • 受診状況等証明書が添付できない申立書
  • 請求の5年以上前に医療機関が作成したカルテの写し等であって、請求者が申し立てた他の医療機関での初診日が記載されているもの 

【出典】日本年金機構HP(パンフレット)
  「障害年金の初診日証明書類のご案内(初診時の医療機関の証明を得ることが難しい場合)」