キャリアアップ助成金 令和4年12月以降の変更点

 「キャリアアップ助成金」は、非正規雇用労働者の企業内でのキャリアアップを促進するため、正社員化、処遇改善の取り組みを実施した事業主に対して助成金を支給する制度です。
 厚生労働省は、キャリアアップ助成金制度の拡充について、12月2日に公表しています。

【参考】厚生労働省HP「キャリアアップ助成金

正社員化コース

 正社員化コースは、有期雇用労働者、短時間労働者、派遣労働者などの正規雇用労働者を正規雇用労働者に転換または直接雇用した場合に、事業主に対して助成される制度です。
 このうち、人材開発支援助成金の特定の訓練を修了した後に正社員化をすると助成金額が加算されていますが、令和4年12月2日以降に正社員化した場合は、以下の拡充の対象となります。

助成金の金額(1人当たり)の拡充

 人材開発支援助成金「人への投資促進コース」のうち一部訓練(自発的職業能力開発訓練、定額制訓練)の加算額を9万5,000円から11万円に引き上げられました。

加算の対象となる訓練の拡充

 人材開発支援助成金の加算対象となる訓練コースが追加されました。

  • 事業展開等リスキリング支援コース 【令和4年12月新設】
    新規事業の立ち上げなどの事業展開等に伴い、新たな分野で必要となる知識及び技能を習得させるための訓練を実施した場合に、訓練経費や訓練期間中の賃金の一部を助成
  • 特別育成訓練コース
    有期契約労働者等の人材育成に取り組んだ場合に助成
  • 人への投資促進コース
    デジタル人材・高度人材を育成する訓練、労働者が自発的に行う訓練、定額制訓練(サブスクリプション型)等を実施した場合に、訓練経費や訓練期間中の賃金の一部等を助成
  • 特定訓練コース(うちITSSレベル2訓練)
    雇用する正社員に対して、厚生労働大臣の認定を受けたOJT付き訓練、若年者への訓練、労働生産性向上に資する訓練等、訓練効果の高い10時間以上の訓練を実施した場合に、訓練経費や訓練期間中の賃金の一部等を助成



賃金規程等改定コース

 賃金規程等改定コースは、有期雇用労働者、短時間労働者、派遣労働者など、正規雇用労働者の基本給の賃金規定等を3%以上増額改定し、実際に賃金を引き上げた場合に、事業主に対して助成される制度です。 

支給要件の見直し、助成金の金額(1人当たり)の拡充

 支給要件を見直す(2%以上→3%以上)とともに、5%以上の賃金引上げを行う場合の助成額が拡充されました。
 なお、見直しに伴い、「生産性要件」を満たした場合の助成額の増額は廃止されています

申請上限の緩和

 1事業所あたり1年度1回の申請制限が撤廃されました。1年度1事業所あたり100人までは複数回の申請ができます。
 また、職務評価を行った上で賃金規定等を改定した場合は、助成額の加算が受けられます。