雇用をしていない派遣先であっても適用される労働各法の特例(Q&A)

目次

派遣先と派遣元の責任分担

 派遣先は派遣労働者と雇用関係がありません。しかし、派遣労働者は派遣先の指揮命令を受けて就業することから、本来は雇用関係のある事業主が適用される労働各法のについて、一部は派遣先にも責任を負わせることができるような特例が設けられています。

労働基準法の特例

 労働基準法の特例として派遣先にも適用されるのは、どのような事項ですか

 労働基準法に規定されている以下の事項については、派遣元事業主だけではなく、派遣先にも適用が及びます。(労働者派遣法第44条①)

  • 均等待遇(労働基準法第3条)
  • 強制労働の禁止(第5条)
  • 徒弟の弊害排除(第69条)

 また、以下の事項については、派遣先のみに適用されます。(労働者派遣法第44条②)

  • 公民権行使の保障(労働基準法第7条)
  • 労働時間(第32条)
  • 1か月単位の変形労働時間制(第32条の2①)
    使用者は、労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律(以下「労働者派遣法」という。)第四十四条第三項に規定する派遣元の使用者(以下単に「派遣元の使用者」という。)が、当該派遣元の事業(同項に規定する派遣元の事業をいう。以下同じ。)の事業場に、労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては労働者の過半数を代表する者との書面による協定により、又は就業規則その他これに準ずるものにより、一箇月以内の一定の期間を平均し一週間当たりの労働時間が前条第一項の労働時間を超えない定めをしたときは、同条の規定にかかわらず、その定めにより、特定された週において同項の労働時間又は特定された日において同条第二項の労働時間を超えて、労働させることができる。
  • フレックスタイム制(第32条の3①)
    使用者は、派遣元の使用者が就業規則その他これに準ずるものにより、その労働者に係る始業及び終業の時刻をその労働者の決定に委ねることとした労働者であつて、当該労働者に係る労働者派遣法第二十六条第一項に規定する労働者派遣契約に基づきこの条の規定による労働時間により労働させることができるものについては、派遣元の使用者が、当該派遣元の事業の事業場の労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては労働者の過半数を代表する者との書面による協定により、次に掲げる事項を定めたときは、その協定で第二号の清算期間として定められた期間を平均し一週間当たりの労働時間が第三十二条第一項の労働時間を超えない範囲内において、同条の規定にかかわらず、一週間において同項の労働時間又は一日において同条第二項の労働時間を超えて、労働させることができる。
    一 この項の規定による労働時間により労働させることができることとされる労働者の範囲
    二 清算期間(その期間を平均し一週間当たりの労働時間が第三十二条第一項の労働時間を超えない範囲内において労働させる期間をいい、三箇月以内の期間に限るものとする。以下この条及び次条において同じ。)
    三 清算期間における総労働時間
    四 その他厚生労働省令で定める事項
  • 1年単位の変形労働時間制(第32条の4①~③)
  1. 使用者は、派遣元の使用者が、当該派遣元の事業の事業場に、労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては労働者の過半数を代表する者との書面による協定により、次に掲げる事項を定めたときは、第三十二条の規定にかかわらず、その協定で第二号の対象期間として定められた期間を平均し一週間当たりの労働時間が四十時間を超えない範囲内において、当該協定(次項の規定による定めをした場合においては、その定めを含む。)で定めるところにより、特定された週において同条第一項の労働時間又は特定された日において同条第二項の労働時間を超えて、労働させることができる。
    一 この条の規定による労働時間により労働させることができることとされる労働者の範囲
    二 対象期間(その期間を平均し一週間当たりの労働時間が四十時間を超えない範囲内において労働させる期間をいい、一箇月を超え一年以内の期間に限るものとする。以下この条及び次条において同じ。)
    三 特定期間(対象期間中の特に業務が繁忙な期間をいう。第三項において同じ。)
    四 対象期間における労働日及び当該労働日ごとの労働時間(対象期間を一箇月以上の期間ごとに区分することとした場合においては、当該区分による各期間のうち当該対象期間の初日の属する期間(以下この条において「最初の期間」という。)における労働日及び当該労働日ごとの労働時間並びに当該最初の期間を除く各期間における労働日数及び総労働時間)
    五 その他厚生労働省令で定める事項
  2. 使用者は、前項の協定で同項第四号の区分をし当該区分による各期間のうち最初の期間を除く各期間における労働日数及び総労働時間を定めたときは、当該各期間の初日の少なくとも三十日前に、派遣元の使用者が、当該派遣元の事業の事業場に、労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては労働者の過半数を代表する者の同意を得て、厚生労働省令で定めるところにより、当該労働日数を超えない範囲内において当該各期間における労働日及び当該総労働時間を超えない範囲内において当該各期間における労働日ごとの労働時間を定めなければならない。
  3. 厚生労働大臣は、労働政策審議会の意見を聴いて、厚生労働省令で、対象期間における労働日数の限度並びに一日及び一週間の労働時間の限度並びに対象期間(第一項の協定で特定期間として定められた期間を除く。)及び同項の協定で特定期間として定められた期間における連続して労働させる日数の限度を定めることができる。
  • 災害等による臨時の必要がある場合の時間外労働等(第33条)
  • 休憩(第34条)
  • 休日(第35条)
  • 時間外及び休日の労働(第36条①⑥)
  1. 使用者は、派遣元の使用者が、当該派遣元の事業の事業場に、労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては労働者の過半数を代表する者との書面による協定をし、及び厚生労働省令で定めるところによりこれを行政官庁に届け出た場合においては、第三十二条から第三十二条の五まで若しくは第四十条の労働時間(以下この条において「労働時間」という。)又は前条の休日(以下この条において「休日」という。)に関する規定にかかわらず、その協定で定めるところによつて労働時間を延長し、又は休日に労働させることができる。
  1. 使用者は、第一項の協定で定めるところによつて労働時間を延長して労働させ、又は休日において労働させる場合であつても、次の各号に掲げる時間について、当該各号に定める要件を満たすものとしなければならない。
    一 坑内労働その他厚生労働省令で定める健康上特に有害な業務について、一日について労働時間を延長して労働させた時間  二時間を超えないこと。
    二 一箇月について労働時間を延長して労働させ、及び休日において労働させた時間  百時間未満であること。
    三 対象期間の初日から一箇月ごとに区分した各期間に当該各期間の直前の一箇月、二箇月、三箇月、四箇月及び五箇月の期間を加えたそれぞれの期間における労働時間を延長して労働させ、及び休日において労働させた時間の一箇月当たりの平均時間  八十時間を超えないこと。
  • 労働時間及び休憩の特例(第40条)
  • 労働時間等に関する規定の適用除外(第41条)
  • 年少者に係る労働時間及び休日(第60条)
  • 年少者に係る深夜業(第61条)
  • 年少者に係る危険有害業務の就業制限(第62条)
  • 年少者に係る坑内労働の禁止(第63条)
  • 女性に係る坑内業務の就業制限(第64条の2)
  • 妊産婦等に係る危険有害業務の就業制限(第64条の3)
  • 妊産婦に係る時間外労働、休日労働、深夜業の制限(第66条)
  • 育児時間(第67条)
  • 生理日の就業が著しく困難な女性に対する措置(第68条)

 新たに派遣労働者を受け入れることになったときは、派遣先である当社の就業規則を見直さなければいけませんか

 派遣先の就業規則を見直す必要はありません。
 派遣労働者もいわゆる非正規労働者のひとつの形態になります。正社員のほかに、新たに有期雇用の労働者や短時間勤務労働者を雇用することになったときは就業規則の見直しが必要となりますが、派遣労働者は派遣元と雇用関係にあるので、派遣元の就業規則に従うことになります。

 受け入れた派遣労働者の有給休暇に関する管理は派遣先が行わなければならないのですか

 年次有給休暇に関する規定(労働基準法第39条)は派遣先には適用されません。
 すなわち、派遣労働者が休暇を申請する先は雇用関係のある派遣元となります。派遣労働者が休暇を取ることにより派遣先の業務が正常に運営できない場合であっても、派遣先は年次有給休暇を取得する時季を変更することはできません。時季変更権は雇用している派遣元事業主にあるので、代替の労働者を派遣してもらうのか、派遣元が時季変更権を変更するのかは派遣元と交渉して決めることになります。

 受け入れた派遣労働者に時間外や休日労働をさせるためには、派遣先で36協定を結ばなければいけませんか

 派遣先は派遣労働者を雇用していないので、36協定を結ぶことができません。
 派遣労働者を時間外や休日に労働をさせる必要があるときは、派遣元で36協定を結び、労働基準監督署へ届出をします。派遣先はその内容を確認し、協定で定められた内容に従って派遣元と労働者派遣契約を締結した上で、派遣労働者に時間外や休日に労働を命じることができます。

 なお、36協定で定められた内容を超える時間外や休日労働があった場合は違法となるので、労働時間管理を行っている派遣先は労働基準法第36条違反として罰則などが適用されることがあります。

 当社では1年単位の変形労働時間制を採用していますが、派遣労働者にも変形労働時間制で働いてもらうことはできるのですか

 変形労働制のうち、1か月単位の変形労働時間制(労働基準法第32条の2①)、フレックスタイム制(労働基準法第32条の3①)、1年単位の変形労働時間制(労働基準法第32条の4①~③)については、派遣元で適切な手続きを行い、派遣元とその内容に沿った労働者派遣契約を締結した上で、派遣労働者にも変形労働時間制を適用することができます。

(昭和63.1.1基発第1号、婦発第1号)

7 その他
(4) 派遣労働者に対する労働基準法の適用に関する特例
 派遣労働者については、これと労働契約関係にない派遣先事業主が業務遂行上の指揮命令を行うという特殊な労働関係にあるので、派遣労働者の保護に欠けることのないように労働者派遣法において労働基準法の適用に関する特例が設けられているところであるが、今回、労働時間に関する規定が改正されたので、これに伴い労働者派遣法について整備を行ったものであること。
特に、フレックスタイム制、1年単位の変形労働時間制の規定については、下記のとおり、その枠組みの設定に係る事項は、派遣元の使用者が行うものであること。
イ フレックスタイム制
派遣労働者を派遣先においてフレックスタイム制の下で労働させる場合には、派遣元の使用者は、次のことを行う必要があるものであること。
① 派遣元事業場の就業規則その他これに準ずるものにより、始業及び終業の時刻を派遣労働者の決定にゆだねることを定めること。
② 派遣元事業場において労使協定を締結し、所要の事項について協定すること。
③ 労働者派遣契約において当該労働者をフレックスタイム制の下で労働させることを定めること。
ロ 一年単位の変形労働時間制
 派遣労働者を派遣先において1年単位の変形労働時間制の下で労働させる場合には、派遣元の使用者は、派遣元事業場において労使協定を締結し、①1年以内の一定の期間を平均し1週間の労働時間が40時間を超えない範囲内において、②労働日及び労働日ごとの労働時間を具体的に定める必要があること。

 なお、1週間単位の非定型的変形労働時間制(労働基準法第32条の5)については、労働基準法の特例に定められていません。

 当社では、事業場外労働のみなし労働時間制を導入していますが、派遣労働者にも適用することができるのでしょうか

 派遣元事業者が適切に手続きを取っていれば、派遣労働者にも適用することができます。

 みなし労働時間制には「事業場外労働のみなし労働時間制」「専門業務型裁量労働制」「企画業務型裁量労働制」の3種類があります。
 このうち、「事業場外労働のみなし労働時間制」「専門業務型裁量労働制」は、労働者派遣法第44条⑤で読み替え規定が置かれており、派遣労働者であっても条件に合致すれば制度の利用ができます。

労働者派遣法第44条⑤で読み替え後の労働基準法
●事業場外労働のみなし労働時間制
第三十八条の二 労働者が労働時間の全部又は一部について事業場外で業務に従事した場合において、労働時間を算定し難いときは、所定労働時間労働したものとみなす。ただし、当該業務を遂行するためには通常所定労働時間を超えて労働することが必要となる場合においては、当該業務に関しては、厚生労働省令で定めるところにより、当該業務の遂行に通常必要とされる時間労働したものとみなす。
② 前項ただし書の場合において、当該業務に関し、当該事業場(労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律(昭和六十年法律第八十八号。以下「労働者派遣法」という。)第二十三条の二に規定する派遣就業にあつては、労働者派遣法第四十四条第三項に規定する派遣元の事業の事業場)に、労働者の過半数で組織する労働組合があるときはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がないときは労働者の過半数を代表する者との書面による協定があるときは、その協定で定める時間を同項ただし書の当該業務の遂行に通常必要とされる時間とする。
③ 使用者は、厚生労働省令で定めるところにより、前項の協定を行政官庁に届け出なければならない。

●専門業務型裁量労働制
第三十八条の三 使用者が、当該事業場に、労働者の過半数で組織する労働組合があるときはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がないときは労働者の過半数を代表する者との書面による協定により、次に掲げる事項を定めた場合において、労働者を第一号に掲げる業務に就かせたとき(派遣先の使用者(労働者派遣法第四十四条第一項又は第二項の規定により同条第一項に規定する派遣先の事業の第十条に規定する使用者とみなされる者をいう。以下同じ。)が就かせたときを含む。)は、当該労働者は、厚生労働省令で定めるところにより、第二号に掲げる時間労働したものとみなす。
一 業務の性質上その遂行の方法を大幅に当該業務に従事する労働者の裁量にゆだねる必要があるため、当該業務の遂行の手段及び時間配分の決定等に関し使用者が具体的な指示をすることが困難なものとして厚生労働省令で定める業務のうち、労働者に就かせることとする業務(以下この条において「対象業務」という。)
二 対象業務に従事する労働者の労働時間として算定される時間
三 対象業務の遂行の手段及び時間配分の決定等に関し、当該対象業務に従事する労働者に対し使用者が具体的な指示をしないこと。
四 対象業務に従事する労働者の労働時間の状況に応じた当該労働者の健康及び福祉を確保するための措置を当該協定で定めるところにより使用者が講ずること。
五 対象業務に従事する労働者からの苦情の処理に関する措置を当該協定で定めるところにより使用者が講ずること。
六 前各号に掲げるもののほか、厚生労働省令で定める事項
② 前条第三項の規定は、前項の協定について準用する。

(法令等の周知義務)
第百六条 使用者は、この法律(労働者派遣法第四十四条の規定を含む。以下この項において同じ。)及びこれに基づく命令の要旨、就業規則、第十八条第二項、第二十四条第一項ただし書、第三十二条の二第一項、第三十二条の三第一項、第三十二条の四第一項、第三十二条の五第一項、第三十四条第二項ただし書、第三十六条第一項、第三十七条第三項、第三十八条の二第二項【注:事業場外労働のみなし労働時間制】、第三十八条の三第一項注:専門業務型裁量労働制】並びに第三十九条第四項、第六項及び第九項ただし書に規定する協定並びに第三十八条の四第一項及び同条第五項注:企画業務型裁量労働制】(第四十一条の二第三項において準用する場合を含む。)並びに第四十一条の二第一項注:高度プロフェッショナル制度】に規定する決議(派遣先の使用者にあつては、この法律及びこれに基づく命令の要旨)を、常時各作業場の見やすい場所へ掲示し、又は備え付けること、書面を交付することその他の厚生労働省令で定める方法によつて、労働者に周知させなければならない。
② 使用者は、この法律及びこの法律に基いて発する命令のうち、寄宿舎に関する規定及び寄宿舎規則を、寄宿舎の見易い場所に掲示し、又は備え付ける等の方法によつて、寄宿舎に寄宿する労働者に周知させなければならない。

 受け入れた派遣労働者を派遣先が解雇することはできますか

 派遣先は、派遣労働者と雇用関係にないので、派遣労働者を解雇することはできません。
 派遣元事業主との労働者派遣契約を解除することも考えられますが、この場合であっても、派遣労働者の国籍、信条、性別、社会的身分、派遣労働者が労働組合の正当な行為をしたことなどを理由として、労働者派遣契約を解除することはできません(労働者派遣法第27条)。
 これらの理由であれば、派遣元事業主との合意があったとしても解除は公序良俗に反するものとして無効となり、仮に派遣元事業主が損害を被った場合には、損害賠償の請求を受ける可能性もあります。

労働安全衛生法の特例

 労働安全衛生法の特例として派遣先にも適用されるのは、どのような事項ですか

 労働安全衛生法に規定されている以下の事項については、派遣元事業主だけではなく、派遣先にも適用が及びます。(労働者派遣法第45条①)

  • 事業者等の責務等(労働安全衛生法第3条①、第4条)
  • 総括安全衛生管理者(第10条)
  • 衛生管理者(第12条)
  • 安全衛生推進者等(第12条の2)
  • 産業医等(第13条、第13条の2、第13条の3)
  • 衛生委員会(第18条)
  • 安全管理者等に対する教育等(第19条の2)
  • 作業内容変更時の安全衛生教育(第59条②)
  • 危険有害業務従事者に対する安全衛生教育(第60条の2)
  • 中高年齢者等についての配慮(第62条)
  • 健康診断実施後の措置(第66条の5①)
  • 健康教育等(第69条)
  • 体育活動等についての便宜供与等(第70条)

 また、以下の事項については、派遣先のみに適用されます。(労働者派遣法第45条③⑤)

  • 安全管理者(労働安全衛生法第11条)
  • 作業主任者(第14条)
  • 統括安全衛生責任者(第15条)
  • 元方安全衛生管理者(第15条の2)
  • 店社安全衛生管理者(第15条の3)
  • 安全委員会(第17条)
  • 危険防止等のための事業者の講ずべき措置等(第20条~第27条、第31条の3)
  • 事業者の行うべき調査等(第28条の2)
  • 元方事業者等の講ずべき措置等(第29条~第30条の3)
  • 厚生労働省令への委任(第36条(第30条①④、第30条の2①④、第30条の3①④に関する部分))
  • 定期自主検査(第45条①③④)
  • 化学物質の有害性の調査(第57条の3~第58条)
  • 特別の安全衛生教育(第59条③)
  • 指導監督者に対する安全衛生教育(第60条)
  • 就業制限(第61条①)
  • 作業環境測定等(第65条、第65条の2)
  • 作業の管理(第65条の3)
  • 作業時間の制限(第65条の4)
  • 特殊健康診断等(労働安全衛生法第66条②~⑤、第66条の3、第66条の4、第66条の8の3)
  • 病者の就業禁止(労働安全衛生法第68条)
  • 受動喫煙の防止(第68条の2)
  • 快適な職場環境形成のため事業者が講ずべき措置(第71条の2)
  • 安全衛生改善計画(第78条、第79条)
  • 安全衛生診断(第80条)
  • 建設物の設置等に関する計画の届出等(第88条)
  • 建設物の設置等に関する計画についての厚生労働大臣等の審査等(第89条、第89条の2)

 派遣労働者の健康診断は派遣元、派遣先のどちらが行うのですか

 一般の健康診断は、派遣元の事業主に実施が義務付けられています。保険指導や面接指導も同様です。
 一方で、特殊健康診断については、原則として派遣先に実施が義務付けられています。
 しかし、ある派遣先で一定の有害業務に従事した後、派遣期間が満了し、現在は派遣元において、または他の派遣先に派遣されて有害業務以外の業務に従事している労働者に対する特殊健康診断(有害業務従事後の健康診断)は、派遣元の事業者に実施が義務付けられています。
 なお、ある派遣先で一定の有害業務に従事した後、引き続き同一派遣先において有害業務以外の業務に従事している労働者に対する特殊健康診断(有害業務従事後の健康診断)の実施義務は派遣先にあります。その派遣労働者を継続して受け入れていることから、原則の義務者がアフターフォローを行うということです。

 派遣先の事業者は、派遣中の労働者に対し健康診断を行ったとき、または当該派遣中の労働者から健康診断の結果を証明する書面の提出があったときは、遅滞なくこれらの健康診断の結果を記載した書面を作成し、派遣元の事業者に送付しなければいけません(労働者派遣法第45条⑩)。
 これらの規定に違反すると、30万円以下の罰金に処せられることがあります(労働者派遣法第45条⑫)。
 また、派遣先の事業者は、労働安全衛生法第66条の4の規定により、医師等の意見を聴いたときは、遅滞なく派遣元の事業者に通知しなければなりません(労働者派遣法第45条⑭)。

 派遣先における安全衛生管理体制について、派遣労働者数はカウントするのですか

 労働災害を防止するためには、事業場における安全衛生を確保するための管理体制を確立することが必要となります。
 安全衛生管理体制は、常時使用する労働者数によって選任する管理者が変わりますが、派遣先において選任規模を算定する際は受け入れている派遣労働者の数を含めて、常時使用労働者数を算定することになります。
 また、安全委員会や衛生委員会の設置規模についても同じ考え方になります。

 安全衛生教育は派遣元、派遣先のどちらが行うのですか

 雇入れ時の教育は、労働者を雇い入れる事業者である派遣元の事業者が行います。
 また、作業内容変更時の教育についても、原則として、労働契約関係の当事者である派遣元の事業者が行うべきものです。しかし、例えば、使用する機器を変更するなど作業内容の変更が派遣先で行われる場合など、派遣先に実施を義務付ける方が適当な場合もあるため、派遣元、派遣先の双方に実施義務が課せられています。

 なお、特別教育や職長教育は、現場の設備状況等に合わせて行う必要があるため、派遣先の事業者が行うことになります。

男女雇用機会均等法の特例

 男女雇用機会均等法の特例として派遣先にも適用されるのは、どのような事項ですか

 男女雇用機会均等法に規定されている以下の事項については、派遣元事業主だけではなく、派遣先にも適用が及びます。(労働者派遣法第47条の2)

  • 妊娠・出産等を理由とする解雇その他不利益取扱いの禁止(男女雇用機会均等法第9条③)
  • 職場における性的な言動に起因する問題に関する雇用管理上の措置(第11条①)
  • 職場における性的な言動に起因する問題に関する事業主の責務(第11条の2②)
  • 職場における妊娠、出産等に関する言動に起因する問題に関する雇用管理上の措置(第11条の3①)
  • 職場における妊娠、出産等に関する言動に起因する問題に関する事業主の責務(第11条の4②)
  • 妊娠中及び出産後の健康管理に関する措置(第12条、第13条①)

育児・介護休業法の特例

 育児・介護休業法の特例として派遣先にも適用されるのは、どのような事項ですか

 育児・介護休業法に規定されている以下の事項については、派遣元事業主だけではなく、派遣先にも適用が及びます。(労働者派遣法第47条の3)

  • 育児休業を理由とする解雇その他不利益取扱いの禁止(育児・介護休業法第10条)
    なお、令和4年10月より、出生時育児休業や出生時育児休業期間中の就業可能日等の申出を行わなかったこと等を理由とする不利益取扱いも派遣元、派遣先の双方で禁止されます。
  • 介護休業を理由とする解雇その他不利益取扱いの禁止(第16条)
  • 子の看護休暇を理由とする解雇その他不利益取扱いの禁止(第16条の4)
  • 介護休暇を理由とする解雇その他不利益取扱いの禁止(第16条の7)
  • 所定外労働の制限を理由とする解雇その他不利益取扱いの禁止(第16条の10)
  • 時間外労働の制限を理由とする解雇その他不利益取扱いの禁止(第18条の2)
  • 深夜業の制限(第20条の2)
  • 妊娠・出産等の申出をしたことを理由とする解雇その他不利益取扱いの禁止(第21条②)
  • 所定労働時間の短縮措置等(第23条の2)
  • 職場における育児休業、介護休業等に関する言動に起因する問題に関する雇用管理上の措置(第25条)
  • 職場における育児休業、介護休業等に関する言動に起因する問題に関する事業主の責務(第25条の2②)

労働施策総合推進法の特例

 労働施策総合推進法の特例として派遣先にも適用されるのは、どのような事項ですか

 労働施策総合推進法に規定されている以下の事項については、派遣元事業主だけではなく、派遣先にも適用が及びます。(労働者派遣法第47条の4)

  • 職場における優越的な関係を背景とした言動に起因する問題に関する雇用管理上の措置(労働施策総合推進法第30条の2①)
  • 職場における優越的な関係を背景とした言動に起因する問題に関する事業主の責務(第30条の3②)

 受け入れている派遣労働者からハラスメントの相談がありました。対応は雇用関係にある派遣元事業主に任せればよいのでしょうか。

 パーワーハラスメントやセクシャルハラスメントをはじめとするハラスメントは、大半が派遣労働者の就業先、つまり派遣先の事業場で発生しています。
 そのため、労働施策総合推進法をはじめ、男女雇用機会均等法、育児・介護休業法では、各種ハラスメントへの対応責任を雇用している派遣元事業主だけではなく、派遣先も責任を負うと定められています。

じん肺法、作業環境測定法の特例

 上記のほか、派遣先には「じん肺法」(労働者派遣法第46条)や「作業環境測定法」(労働者派遣法第47条)の適用に関する特例も設けられています。

労災保険法の適用関係

 労災保険法の適用は派遣先になるのですか

 労働者派遣事業に対する労災保険法の適用については、派遣元事業主の事業が適用事業とされます。派遣元事業主の事業に係る保険関係により適用労働者となります。

昭和61.6.30発労徴第41号、基発383号

 労働者派遣事業における事業主の災害補償責任については、以下の事項などを考慮した結果、労働者派遣法において特例を設けず、派遣元事業主に災害補償責任を負うこととされています。

  1. 派遣元事業主は、労働者の派遣先を任意に選択できる立場にあり、労災事故が発生した派遣先と労働者派遣契約を締結し、その契約に基づいて労働者を派遣したことに責任があること
  2. 派遣元事業主は、派遣労働者を雇用し、自己の業務命令によって派遣先において就労をさせているので、派遣労働者を雇用している者として、派遣先の事業場において派遣労働者の安全衛生が確保されるよう十分配慮する責任があること(労働者派遣法第31条)
  3. 業務上の負傷・疾病に係る解雇制限の規定(労働基準法第19条①)や補償を受ける権利の退職による不変更の規定(労働基準法第83条①)は、労働契約関係の当事者である派遣元事業主に災害補償責任のあることを前提としていると考えられること
  4. 災害補償の内容は賃金に代替する性格を有しているものであり、賃金支払義務者である派遣元事業主に災害補償責任を負わせることが適当と考えられること
  5. 保険料の算定基礎となる賃金総額を的確に把握する観点からみても、賃金を支払う派遣元事業主を適用事業主とすること

 派遣労働者の業務災害はどのように認定されますか

 派遣労働者に係る業務災害の認定に当たっては、

  1. 派遣労働者が派遣元事業主との間の労働契約に基づき派遣元事業主の支配下にある場合
  2. 派遣元事業と派遣先事業との間の労働者派遣契約に基づき派遣先事業主の支配下にある場合

には、一般に業務遂行性があるものとして取り扱います。
 なお、派遣元事業場と派遣先事業場との間の往復の行為については、それが派遣元事業主又は派遣先事業主の業務命令によるものであれば、一般に業務遂行性が認められます。

( 昭和61.6.30基発383号)

 派遣労働者の通勤災害はどのように認定されますか

 派遣労働者に係る通勤災害の認定に当たっては、派遣元事業主又は派遣先事業主の指揮命令により業務を開始し、または終了する場所が「就業の場所」となります。
 したがって、派遣労働者の住居と派遣元事業場又は派遣先事業場との間の往復の行為は、一般に「通勤」となります。

(昭和61.6.30基発383号)

 派遣先において派遣労働者が仕事中にけがをした場合、派遣先事業主に係る第三者行為災害の取扱いはどのようになりますか

 派遣労働者の被った労働災害が以下のような場合、派遣先を第三者とする第三者行為災害となります。

  1. 直接の加害行為が存在する場合
  2. 直接の加害行為は存在しないが、派遣労働者の被った労働災害の直接の原因が派遣先事業主の安全衛生法令違反にあると認められる場合

(平成24.9.7基発0907第4号)

 「第三者行為災害」とは、労災保険給付の原因である災害が第三者の行為などによって生じたもので、労災保険の受給権者である被災労働者や遺族に対して、第三者が損害賠償の義務を有しているものをいいます。
 つまり、派遣先の責任よる労災事故が発生し、派遣労働者に対して労災保険から保険給付がされたときは、国(政府)はその給付の価額の限度でその派遣労働者が派遣先事業主に対して有する損害賠償の請求権を取得し、求償することとなります。

【出典】厚生労働省パンフレット「第三者行為災害のしおり

 上図の「第三者」に「派遣先」が該当することになります。

 派遣労働者の被った業務災害が事業主の故意又は重大な過失により生じたものであるとき、派遣先であっても費用徴収をされるのですか

 派遣労働者の被った業務災害が派遣元事業主が故意又は重大な過失により生じたものであるとき、療養開始日(即死の場合は事故発生日)の翌日から3年以内に支給事由が生じた保険給付(一部を除く)の額の30%相当額支給の都度、事業主から徴収されます(費用徴収)。(労災保険法第31条①三)
 しかし、派遣先の事業主に対して、この規定は適用されません

(昭和61.6.30基発383号)

 派遣先においては、「費用徴収」ではなく「第三者行為災害」において金銭的負担を負うということです。

 労働者死傷病報告は派遣元、派遣先のどちらに提出義務がありますか

 派遣労働者に係る死傷病報告は、派遣元、派遣先の双方に提出義務が生じます。

 派遣先は、受け入れている派遣労働者が労働災害に被災した場合、労働者死傷病報告(様式23号)を作成し、派遣先の事業場を所轄する労働基準監督署に提出しなければいけません。また、提出した労働者死傷病報告の写しを、遅滞なく、その労働者を雇用する派遣元事業者に送付しなければいけません。
 また、派遣元事業者は、派遣労働者が労働災害に被災したことを把握した場合、派遣先事業者から送付された所轄労働基準監督署長に提出した労働者死傷病報告の写しを踏まえて労働者死傷病報告を作成し、派遣元の事業場を所轄する労働基準監督署に提出しなければいけません。(労働者派遣法45条⑮、同規則42条、平成27.9.30基発0930第5号

 労働者死傷病報告を提出しなかったり、虚偽の内容を記載して労働基準監督署へ提出すると「労災かくし」として50万円以下の罰金に処せられます。(労働安全衛生法第120条五、第122条)

 なお、派遣労働者が労働災害に被災した場合、派遣元事業者は派遣先から当該労働災害の原因や対策について必要な情報提供を求め、雇入れ時などの安全衛生教育に活用するとともに、労働災害のあった業務と同じ業務に従事する派遣労働者に対してこれらの情報を提供することとされています。

派遣に関する労働保険料の計算(労働保険徴収法)

 労働者派遣業の労災保険料率、雇用保険料率はどのように決まるのですか

 労働者派遣事業における事業の種類は、派遣労働者の派遣先での作業実態に基づき決定します。
 派遣労働者の派遣先での作業実態が数種にわたる場合には、主たる作業実態に基づき事業の種類を決定することとし、この場合の主たる作業実態は、それぞれの作業に従事する派遣労働者の数、当該派遣労働者に係る賃金総額等により判断します。

 例えば、上図のように派遣労働者が4つの業種(5つの事業場)にまたがって派遣されているとき、最も多く派遣されているのは金属製品製造業(派遣先A+派遣先B=70人)であるため、派遣元事業場が適用される業種は「金属製品製造業」となり、労災保険率は10/1,000(令和4年度)となります。
 労働保険の適用は派遣元事業主になりますが、派遣先においては、派遣労働者を受け入れる事業所が適用されている事業の種類を派遣元事業主にきちんと伝える必要があります。
 なお、雇用保険率については、原則として、「一般の事業」の雇用保険率を適用することとされています。

(昭和61.6.30基発383号)

労働組合との団体交渉応諾義務(労働組合法)

 受け入れている派遣労働者が所属するユニオン(労働組合)からの団体交渉の申し入れに対応する必要がありますか

 労働者派遣において、派遣される労働者の労働条件は雇用関係のある派遣元事業主との間で決定されます。そのため、労働組合法に定める使用者は、原則として派遣元事業主となります。
 しかし、上記で見たように、責任分担において派遣先にも責務がある内容の申し入れについては派遣先において対応する必要があります。また、偽装請負などの違法派遣による「労働契約申込み みなし制度」に関する内容であれば、派遣先も無関係であるとは言えません。